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一番言いたくないことを言ってしまう子

カウンセリングで、複数の子どもたちから、よく聞かれる言葉があります。

「お母さんに一番言いたくないことを言ってしまうんです。そういう自分が嫌いです。」

今回は、親子でのコミュニケーションがうまくとれていないと感じているお母さんにも、お子さんにも、どちらにも役に立つ親子コミュニケーションの改善策について記事にします。

コミュニケーションは二人の問題

実は、この言葉は、子どもを継続的にカウンセリングしていると、ある段階でよく聞かれる言葉です。この言葉の出現から、カウンセリングが新たなフェーズへと進んでいく象徴的な言葉でもあります。心理的な課題をもつ子どもの多くが、親とのコミュニケーションに課題があるということを表している言葉とも言えます。

この言葉の最後にある通り、親子のコミュニケーションがうまくとれていないという認識は、子どもにとって自己否定につながり、自尊感情を大きく下げる要因になってしまいます。

そして、子どもからこの言葉が聞かれるということからは、親とのコミュニケーションについて課題があるということを子ども自身がよく認識をしているということが分かります。ですが、この言葉は、親以外の第三者に対してのみ発せられる言葉であるので、その子の親は、子どもにそのような認識があることについては気づけないことが多いです。

もちろん、親は親でコミュニケーションがうまくとれていないと感じているはずです。つまり、コミュニケーションによるお互いの理解や共感がされていない状況は、実際にはどちらか一方だけが感じているのではなく、親子でお互いに感じているのだということです。

コミュニケーション・ルール

そのような状況で、どのように親と子が適切なコミュニケーションをとることが可能になるかということですが、それには、「コミュニケーション・ルール」を親子で設定することが有効となります。

その際には、「なんか、最近、私たちコミュニケーションがうまくいってないよね。」というように、コミュニケーションについて問題意識をもっていることを明確に伝えます。その点については、お互いに了解しやすいからです。「は?知らないし・・・」と返ってくるかもしれませんが、それも了解のしるしとここでは捉えましょう。「ぜんぜんうまくいってないわ」と返ってきたら、完全なる了解が得られたことになります。

「でさー、うまくコミュニケーションが図れるようにルールを考えてみようと思うんだけど。」と提案してみましょう。

「ルール、何それ、面倒くさい」と返ってきたら、その日はそこで終えましょう。なぜなら、次のコミュニケーショントラブルの時に、チャンスがやってきます。「今みたいな言い方が一番やなんだよ!いっつもそうじゃん!」とルールづくりのための材料を相手が与えてくれるはずです。そこに決めるべきルールが示されているはずです。

その材料からルールを作り出すのはその場でなくて良いです。お互いに少し頭を冷やしてから、その言葉の意味をよく考えてみましょう。提案すべきルールが見えてくるはずです。

他方、もしルールづくりに相手が賛同してくれたなら、最初に「このルールづくりの話し合いでトラブルにならないように気を付けようね」と提案しましょう。はじめに、相手が問題と感じているコミュニケーションのパターンについて聞きます。「どこに問題があると思ってる?」相手の問題と感じているパターンには、途中で口をはさまずに最後まで聞きましょう。

次に、自分が嫌だと感じるコミュニケーションのパターンをしっかり説明します。「私が○○って言うと、いつも△△って返してくる。そうすると、私は□□っていう気持ちになる。それで、会話がうまくいかなくなる。」

途中で相手が口をはさんできた時には、「私も最後まで口をはさまないで聞いたんだから、そっちも口をはさまないで聞いて」と伝えます。説明する時に、大切なのはコミュニケーションのパターンとして説明することです。あの日あの時のことを具体的に話してしまうと、その時のトラブルが再燃してしまうからです。

お互いの問題と感じているパターンを聞き合った後、同じ場面を問題視していることが多いと思います。お互いに同じ場面を問題視していた場合は、そのパターンとは異なるパターンを考えます。「今度から、私が○○って言ったら、まずは△△してほしい」などと話し合いで決めます。

違う場面を問題視していた場合は、お互いが問題視している場面について、異なるパターンを見つけ出す話し合いを行うことになります。この話し合いは、一回で終わる必要がなく、何回でも途中で頓挫してかまいません。日々のコミュニケーションの実践の中から改善するべき部分を見出すための同意ができているのとできていないのとでは、大きな違いがあるからです。

ルールが破られたら

決めたルールには絶対にペナルティは課しません。はじめから、破ってしまうこともあり得る約束だということをお互いに確かめておきましょう。コミュニケーション改善のためのルールは、適切なコミュニケーションのための道しるべであって、お互いの表現を制限するものではないのです。

ですから、このルールを守って、良いコミュニケーションがとれるようになるのを目指そうという約束を交わすことがルールづくりの最後にすべきことということになります。

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