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how to 不登校 vol.8 不登校の間にしなくてよいこと/すべきこと

不登校(オープンスクーリング)の子どもにとって、最も不利益なのは、学校に行かないことではなく、夢中になって学ぶチャンスを得にくくなることです。

ティーンズという年代にとって、「夢中になって学ぶ」ということは、とても重要です。それによってセルフエスティーム(自尊感情:自分を価値ある者だと感じる感覚)が高まるからです。

このセルフエスティームは、その人のあらゆる活動のモチベーションにつながります。とりわけ、自分の可能性を判断し選択する場面では、セルフエスティームの高低が、そのまま可能性の選択に直結します。セルフエスティームが高ければ、可能性の実現に向かって努力をしていこうと判断するし、セルフエスティームが低ければ、自分には可能性がないと考えて断念することで道をふさいでしまうことになります。

あらゆる活動のモチベーションにつながる、このセルフエスティームを高めるためには、十代で「夢中になって学ぶ」ことを経験していることがとても大切になります。

心理学では、自尊感情が高い人は、決していばる人ではなく、自分の欠点を認めつつも自分を受け入れ、人に対しても優しく、そして何よりも前向きに生きている人です。逆に、自尊感情が低い人は、コミュニケーションを避けたり、挑戦することができなくなったりします。結果として、成績や業績が下がってしまったり、いじけたり、やけになったりする行動がでてきます。

ティーンズの学びにとって、最優先すべきことが学びによるセルフエスティームの向上です。セルフエスティームが人生を左右するものになるからです。そのためには、「夢中になって学ぶ」経験が必要なのです。ですから、たとえ学校に毎日通っていたとしても「夢中になって学ぶ」ということが学校でできていないのなら、その学びはセルフエスティームの向上には役立ちません。学校でセルフエスティームを低下させていくことだってめずらしいことではないのです。

ですから、不登校(オープンスクーリング)の間、しなくてもいいこと/すべきことを判断する基準は、セルフエスティームの向上に役立つかどうかとすべきです。

不登校(オープンスクーリング)の間、セルフエスティームを低下させるような努力事項は排除すべきです。セルフエスティームを低下させる経験は、学校に再登校するためのハードルを高めることにさえつながるからです。


しなくてよいこと①「学校に行くという努力」

もし学校に再登校するために必要なエネルギーとモチベーションをまだ十分に身に付けていないのだとしたら、「学校に行く」という努力事項は、もっともセルフエスティームを低下する努力事項になりかねません。なぜなら、学校に行くことは、もっとも実現可能性の低いことであり、最終的に失敗に終わるプロジェクトになってしまう可能性が高いからです。

「可能性の低いことを成し遂げることによって自信が高まる」という考え方があります。この考え方は、特定の条件の下では正しいのですが、多くの状況下では誤りであると言えます。特定の条件とは、その人がすでにセルフエスティームがかなり高い状態にある上に、その努力事項が成功しても失敗しても、得られるものが大きいという条件です。このような条件下では、可能性の低いことに挑戦する価値がありますが、学校に行かないということを「選択」している不登校(オープンスクーリング)の子が「学校に行く」ということを努力事項とすることは、セルフエスティームを向上させるための手立てとはなりにくいと言えます。「学校に行く」を努力事項としてセルフエスティームを高められるのは、本人ではなく、学校に行ってほしいと願っている周囲の人々だと言えます。

ですから、まずは、学校に行くことを目指す前に、そのためのエネルギーとモチベーションとなるセルフエスティームを向上させることに集中すべきです。


しなくてもよいこと②「原因を特定しようとする努力」

不登校(オープンスクーリング)を始めると、周囲の人たちはそこに至る原因を特定することに多くの時間と労力をかけてしまいがちです。

それはなぜかというと、学校に行けていないという状態に問題解決的に対応しようとするからです。「問題解決」というのは、原因を特定し、その原因を除去することによって再登校させることです。

例えば、原因がいじめと特定できれば、いじめを止めさせるとか、いじめっ子と離れるようにさせるとかという解決をしようとしますし、原因が先生への不適応と特定できれば、先生の対応を改善してもらうよう働きかけるとか、転校するとかという解決をしようとします。

ですが、学校に行けないという状況は、このような原因除去によって解決することは絶対にありません。それは、不登校(オープンスクーリング)をしている本人に聞けばはっきりします。「学校に行けない原因を見付けて、それをなくしたら学校に行ける?」と聞いてみてください。きっと返事に困ったような表情をすると思います。

それにもかかわらず、自分の子が不登校(オープンスクーリング)状態になった保護者はどうしても原因追求にエネルギーをかけてしまいがちです。多くの学校に行けないティーンズをカウンセリングしてきた経験から言えることは、そもそも不登校(オープンスクーリング)状態になる原因は、1つに特定できるものではありません。あらゆる事例でただ1つ共通していることは、セルフエスティームを低下させてしまっているということです。

不登校(オープンスクーリング)に至る原因を特定しようとする努力は、泡と消えます。そこにかけるエネルギーをセルフエスティームを向上させることにむけるべきだと言えます。


すべきこと①「好きなことを継続する努力」

学校に行っていないということが引け目になり、不登校(オープンスクーリング)の子は、好きなことをやめてしまう傾向があります。すきなことをやめてしまうことは、セルフエスティームを低下させてしまいます。

逆に、好きなことに夢中に取り組み、前進を感じることでセルフエスティームは向上します。Feeling Good!なことをすることがセルフエスティームの向上に必要だと考えられています。ピアノが好きな人がピアノを弾くとFeeling Good!になりますし、サッカーが好きな人がサッカーをするとFeeling Good!になります。歌を歌うのが好きな人がカラオケに行ってもFeeling Good!になりますね。大切なことは、世間で良いと言われていることをするのではなく、本人がFeeling Good!なことをするということです。

Feeling Good!なことをするときには、自分がそう感じれているのかが大切なのであり、周りの人の評価がそれによって得られるかで価値を測るべきではありません。周りの人には無駄のように見えても、本人がFeeling Good!であれば、それは価値あることです。

ですから、周りの人は、これまでに取り組んできた好きなことや新しく取り組みたい好きなことを行えるように、サポートしてあげて欲しいと思います。


すべきこと②「教科外の学びをする努力」

せっかくの不登校(オープンスクーリング)期間。この期間でしかできない学びをしましょう。

教科に収まらない学びにもぜひ取り組んでほしいと思います。なぜかと言うと、教科の勉強では、学校で教科を学んでいる子に追いつくことが目的になりがちだからです。周りに追いつくことを目的にした学びでは、セルフエスティームを向上させることはできません。ですから、周りの子が学校では学べないことを、不登校(オープンスクーリング)期間を使って学ぶことで、周りをリードした学習を行い、セルフエスティームを向上させることができます。

最近は、プログラミング教室やアート教室など、不登校(オープンスクーリング)の子を対象とした学習機会も少しずつ増えてきました。各自治体の社会教育施設の開催する講座などにも様々な選択肢があります。

学校に行っていないからと言って、家の中で静かにしていなければいけない理由は何もありません。むしろ、気をつけるべきことは、学校に行っていないことによって学びの機会が失われる状態を作らないことです。


不登校は不学習・不教育ではありません。不登校を不学習・不教育にしてしまうかどうかは、実は周りの人たちの考え方に大きく依存しています。登校をしていないことが、学習をしていないことや教育を受けていないことに進展してしまわないよう、周りの人たちには不登校をオープンスクーリング(学校外に学びを広げた状態)であると認識して、サポートしていただきたいと思います。

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