「アート制作」ってどんな活動でしょう。
あると豊かになるけど、なくても困らないもの?
時間にゆとりのある人が、時間潰しに行うもの?

アート制作の価値は、サイエンスと比較してみると分かりやすくなります。
サイエンスが目指すのは、たくさんのバラバラな事象から1つの一般法則を導くことですね。それによって、人や事物を操作することができるようになるわけです。つまり、いろいろな事象から特殊な部分を取り除いて、いつでもどこでも成り立つ部分を一般法則化するのがサイエンスです。
一方、アート制作はどうでしょう。アート制作は一回性というルールを持っています。アート制作の中では同じ作業は二度と行われません。一筆一筆が一生に一度の作業であって、心の中にある表したいイメージも、同じものが二度生まれることはありません。ですから、それによって生み出されたアート作品には、この世に一つの価値があります。この点は、いつでもどこでも成り立つサイエンスの一般法則と真逆です。
では、実社会はどうなのでしょう。ぼくたちの生活は、どんどんサイエンスの一般法則によってシステム化・プログラム化されていて、どこでどう暮らしていても同じライフスタイルで生きることができる便利な世の中になっています。
ところが、ぼくたちの暮らしを便利にするための工夫だったはずのシステムやプログラムは、千差万別のぼくたち現代人に対して、逆に1つのシステムやプログラムに上手に適応することを求めるようになっていきました。
その1つのシステムやプログラムに上手に適応することが社会人の資質として求められるようになると、社会のシステムやプログラムに適応できない人々は、不適格者のように考えられるようになってしまいました。また、システムやプログラムに適応しようとすることに疲れてしまう人々がたくさん生まれてきました。
そんな社会で、アート制作はどんな価値をもつのでしょうか。
ここで、もう一度、アート制作について考えてみましょう。アート制作は一回性というところに価値があるのでしたね。システム・プログラムが一般法則をもとにしているのに対して、アート制作は一回きりのその瞬間だけに価値のある行動です。つまり、アート制作は、私たちの営みを「今」という瞬間にすべて向かわせてくれるものなのです。
実は、現代人にもっとも必要とされる心理的な体験が、「今、ここ」に自我を置くことなのです。
ぼくたち現代人は、社会というシステムやそこで働いているプログラムに上手に適応することに精一杯になるあまり、自我が「今」や「ここ」から切り離されてしまっています。本来、自分だけの心の中に存在しているはずの自我が、社会的・集合的な存在になっているのです。そのような社会の中で、もう一度、自分らしい自我を取り戻すには「今、ここ」に戻ることが必要です。
その時、アート制作が果たす役割は極めて大きなものになります。なぜなら、アート制作の一回性は、自我を「今、ここ」に引き戻すことそのものであるからです。
アート制作をすることによって、ぼくたちは今を生きる存在として生を営むことができるようになります。みらいびらきLabo.が、プレイセラピーやアートセラピーを心理支援の核にしているのはこうした理由からです。
みらいびらきLabo.では、カウンセリングの中で描画・粘土・音楽などを用いたセラピーを行っています。また、心理アセスメントについても描画やイメージなどを活用することによって、パーソナリティや自我状態を理解するようにしています。
一回性という特質をもつアートだからこそ表現される「今、ここ」の自我の状態をもとに、あなたの生きる「今、ここ」について共に考えることを大切にしています。
当会のカウンセリングは、困り感のある方に限定するものでなく、ご自身の自我傾向について把握したい方、今後の自己実現のために心理状態を把握したい方に対しても行っております。もし興味をお持ちになりましたら、ウェブ予約システムから「C. 心を知るだけサポート」でお申し込みください。