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不登校表現=成長課題×環境条件

先日、新潟県パートナーシップセミナーにパネリストとして登壇させていただいた際に、この記事のタイトルになっている立式について話したところ、その後、メール等で複数のお問い合わせをいただいたので、改めてこの式について説明したいと思います。

成長課題とは

まず、式の中にある成長課題についてですが、これは、子ども本人が現在もっている成長するための課題そのものを意味します。「子ども本人が」と記しましたが、成長課題は子どもだけがもつものではなく、生きている限り老若男女問わず誰もがもっているものです。

しかしながら、誰もが一度きりの人生を初めて生きているので、自分にとっての成長課題をはっきりと認識したり言語化したりすることはできません。実際、「この力を身に付ければ、人間として次のステップに進んでいける」ということを認識できている人はいないのではないかと思います。でも、同時に、不明瞭な成長課題が自分にはあり、それを克服することが前に進むためには必要なことであるということは、誰もが自覚しているということもまた言えるのではないかと思います。

ですから、この不明瞭な成長課題は、いつも表現形式を求めています。成長課題を克服していくには、周りの人との関わりが必要です。そのため、何らかの形で成長課題を表現することがなければ、周りの人を課題に関わらせることができないことになります。

環境条件とは

それでは、この不明瞭な成長課題を表現させるための環境条件とはどのようなものなのでしょうか。

環境条件は、いわゆるトリガーのようなものです。それは、必ずしも本人にとって好機となるような出来事であるとは限らず、時には本人にとって苦痛を伴う環境の出現であることもあります。

例えば、仲の良かった友達が他の子と仲良くなったしまったとか、先生から厳しく叱責を受けたとか、成績が振るわなくなったとか、友達から心を傷つけられてしまったなどというような、辛い出来事が環境条件となることがあります。

なぜ不登校「表現」なのか

この式は「不登校表現=成長課題×環境条件」となっているように、成長課題と環境条件がマッチした際に、不登校という表現が可能となるという心理メカニズムを説明しています。

この式では、不登校は問題ではなく、表現を含んだ現象であると捉えています。お子さんが、学校への行きにくさを感じた際に、お子さんは必ず表現を行います。それは、言語表現である場合もあれば、身体的な不調の表現であることもあり、また、行動による表現であることもあります。

社会的な価値観をできるだけニュートラルにして、この表現を含んだ現象を心理メカニズムとして捉えると、「不明瞭な成長課題に環境条件が適合した結果、不登校表現が可能となった」というように考えることができます。不登校を表現している子ども自身から見ると、「自己の成長課題について表現するために、ようやく不登校という表現形式を得ることができた」という捉えが可能となります。

通常は、周りの大人は、その表現を受け取って「学校に行きたくない」というメッセージを受け取ると思います。そして、次に、原因は何であるかを検討すると思います。その結果、不登校表現を可能にした環境条件(トリガー)を見つけ出すことに成功することがあります。そして、見つけ出した環境条件を是正することを当然に試みると思います。その結果として、不登校表現がなくなったのであれば、その不登校表現は、成長課題よりも環境条件によって生じていたと考えることができます。

例えば、苦手な子がいることが環境条件であることが分かったため、その子とは異なるクラスにしてもらった結果、不登校表現がなくなったようなケースが該当します。

しかしながら、環境条件を整備した結果、不登校表現がなくなるケースはとてもレアなケースです。原因だと考えていた環境をより良い環境に改善したにも関わらず不登校表現が継続して行くことは、よく見られることです。それは、不登校表現によって表されている成長課題が未着手のままになっているからです。

成長課題へのアクセス

このことは、環境条件は見えやすいのですが、成長課題は見えにくいということによって生じると考えています。

成長課題は、前述の通り、本人でさえもはっきりと認識することはできず、また、言語化することも困難な本人のもつ発達テーマです。そのため、周りの人間がその克服に対して何をすべきかということを検討することもまたとても困難なことであると言えます。では、この成長課題にどのようにしてアクセスすることができるのでしょうか。

成長課題にアクセスするには、本人との共通言語が必要になります。共通言語というのは同じ国の言語(例えば日本語)という意味ではありません。本人の言語世界に入るということを意味しています。

そのためのステップとして、まず取り組むべきことは、本人の不登校表現をそのまま受け取ることです。これがすごく得意な人物がいます。

それは、くまのプーさんです。プーさんは、ピグレットやティガーなどの話す悩みなどを、いつもそのまま受け止めます。良いも悪いもジャッジせずにただその気持ちや事実をすべて受け取っていきます。アニメでは、それによってプーさんの周りで起こる良くないことが、プーさんが気づかない間に知らず知らず解決していく場面が描かれることが多くあります。実社会ではそうはいかないこともあると思いますが、プーさんの受け取り方は、不登校支援者にとってはお手本となるものだと思います。ぜひ改めて見てみてください。

ただ、不登校表現を評価なしに受け取るということは、通常、本人に近い立場の人であればあるほど困難になっていくと考えられます。それは、そのような立場の人ほど、お子さんと利害を共にする立場の人であるからです。そんな時には、カウンセラーや相談員などの利害を共にしていない第三者の存在が有効になります。利害関係がない立場だから受け止められる表現があります。そのような立場になれる人物がいることで、本人の成長課題に接近していくことが可能になっていきます。

不登校の支援策

不登校の支援というと、どうしても居場所探しや阻害要因から遠ざけることなどの「環境条件」の整備にだけ目が向けられがちです。

ですが、「不登校表現=成長課題×環境条件」の式で表したように、見えにくい本人の成長課題に目を向けて、耳を傾けることが本人がもつ困難さや不適応感の軽減のためには必要です。

特定非営利活動法人みらいびらきLabo.の心理支援は、この成長課題に特化したカウンセリング及びセラピーを心掛けています。どのような心理支援を行なっているかにつきましては、ご遠慮なくご相談ください。

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