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看護師向け遊戯療法セミナーを実施して

令和4年5月から月に1回のペースで、新潟市内の看護師さん有志を対象に、治療効果を生む遊戯療法セミナーを実施しています。

講師をさせていただいている佐藤は、教育(公務)と心理(当法人)とを横断する立場で活動していますが、普段医療に携わっていらっしゃる看護師さん達と情報交換しながら遊戯療法について深めることができることは新鮮で、学びも多く、とても嬉しく思っています。


看護師の方々と、遊戯療法による心理アセスメントについて対話させていただく中で見出せた大切なことがあります。それは、心理支援を行う際には、どうバイアスをコントロールするかが重要であるということです。

最近、「バイアス」や「認知バイアス」という言葉の入った新刊書が多く見られるようになりました。人間の認知の特性について知りたいと考える人が増えてきている証拠だと思います。それらの書籍の中では、バイアスは、人間の認知を歪めるものとして取り上げられ、どう正常化すべきかで語られることが多いようです。

ですが、実際は、人間のすべての認知は程度の差はあれバイアスを通していると言えます。例えば、同じ人間の行動を観察するにしても、店員として観察するか、医者として観察するか、父親として観察するかでは、観察のポイントや基準は、まったく違うものになるでしょう。つまり、バイアスを取り去るということは、できなことであると言えます。バイアスは、常に入れ替わりながら、ぼくたちの日々の認知活動を効率的にするためのメカニズムであると言えます。

心理療法としての遊戯療法という場面を考えると、クライアントの行動や創作を観察するにしても、どのようなフィルター(バイアス)を通してそれを評価するかによって、アセスメントの結果には大きな違いが生まれます。

ですから、クライアントの心理について観察しようという時には、自分が今どのようなフィルター(バイアス)を通して対象を観察しているのかについて意識できているかどうかが、とても重要になります。


例えば、ぼくは、遊戯療法の中で行う様々な遊戯や創作の中にWISC知能検査の要素を見出して、WISC知能検査で評価できる知能特性が、遊戯の中でどのように表現されているかを観察することが多いです。

ですから、ぼくの遊戯療法による心理アセスメントは、かなりWISCの評価尺度というバイアスがかかっていると言えます。クライアントの表現するエビデンスをWISCの評価尺度を通して評価していきます。

ですが、それは常にそうなのではなく、時には、風景構成法の評価方法やマインドフルネスの効果特性などをフィルターにしながら観察していきます。

つまり、大事なのは、先述の通り、どうバイアスをコントロールしているかということについて、カウンセラーが自覚していることであると考えています。


参加してくださっている看護師さんのお一人がこんなことをおっしゃっていました。

「同じ現象を観察しても、医師と看護師でまったく見方が変わることがありました。でも、このセミナーに参加して、教育や心理の立場にある方は、さらに異なる見方をすることがあることを知りました。それぞれの立場でしか見られなかったことを、場面に応じて切り替えて見られるようになったら最強ですよね。」

それを目指すのがみらいびらきLabo.なんだな。と改めて思いました。

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