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『ゆめパのじかん』上映会のゲストトークの感想

新潟市子どもの権利条例研究会の主催で開催された『ゆめパのじかん』上映会で、上映後に行われるゲストトークに佐藤が参加させていただきました。

『ゆめパのじかん』とは、日本でいち早く子どもの権利条例を制定した川崎市が公設として開設した「子ども夢パーク」を舞台としたドキュメンタリー映画です。


夢パークには、子どもが自らの考えで活動できるように屋内外環境が整えられています。さまざまな子どもたちが集まり、それぞれの関心の赴くままに活動をしたり、しなかったりしています。その夢パークで行われるイベントを通じて、子どもたちは、自分たちで作り上げた「ゆめパ」の中の小社会と出会います。子どもたちは、そこで、さまざまな学びを得て、成長していきます。

私(佐藤)は、この映画を鑑賞するにあたって、この施設で「子どもベース」がどのように実現されているのかに興味をもって臨みました。

というのは、みらいびらきLabo.で目指す重要なコンセプトが「子どもベース」だからです。子ども支援とは言っても、周りの大人や支援者が必要と考える支援を子どもに与えるという形が一般的なのが実際です。

そこで、みらいびらきLabo.は、これを見直すために、子どもが得たいと願う支援を実施する「子どもベース」の支援をコンセプトとしています。

そんな経緯で、今後、どのように「子どもベース」を発展させて行けるかについて、なかなか得られない実践例を得たいという思いで、この映画を鑑賞しました。

その答えは、単純化すると、「場と機会を与える」支援と言うものでした。私たちは、どうしても、子どものために「何をするか」という考え方になりがちですが、子どものために「何を用意するか」という考え方へのシフトが必要なのかなと思いました。

ともにゲストトークに参加された敬和学園大学の大岩彩子先生の実践されている、子どものつくる子どものまち「こころほかほかあたたかいまち」の取り組みも、その点では共通点がありました。教えることから子どもたちが学びをつくることへのシフトチェンジを促す市民教育の実践をご紹介いただき、心理支援職としても教育職としても、考えるべきことが見つかったように思いました。

また、川崎市からお越しになった、かわさき子どもの権利フォーラム事務局の圓谷雪絵さんからは、川崎市で子どもの人権についての考え方がどのように積み上げられ、発展していったかについて、生の声を聞かせていただきました。

ゲストトーク

ゲストトークの最後の一言として、私の祖母がよく言っていた「子どもの仕事は遊ぶこと」の言葉で締めくくりました。

現代は、先行きの見えにくい未来への不安から大人が「学びコンプレックス」に陥っていると感じています。今の子どもの現実ではなく、未来への不安に基づいてデザインされた新しい学びがどんどん提案され、日々更新されています。このような未来の不安に備える学びは、つきつめると「大人の不安ベース」の学びということになります。

そもそも、「学び」とは、本質的に、実存する社会が要請することを子どもに身に付けさせることを意味すると考えます。他方、「育ち」は、その種が子どもの中にあり、それを大人が大切に育んでいくことです。私は、そのための大事な機会が「遊び」だと考えています。

不登校などとして表現される子どもの不適応感の多くは、実は、社会から要請される、この学びへの不適応感なのではないかと思うのです。

今一度、子どもの中にある種を大切に育んでいくことの価値に、社会全体が目を向けていくようになり、「遊び」の価値が復権すると良いなと思います。そのためにも、川崎市の子ども夢パークのような場所が、新潟市にできたら本当にすてきなことになりそうです。ぜひ実現してほしいと思います。その実現に向けて、みらいびらきLabo.も引き続き応援していきたいと思います。

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