こんにちは。もうすぐ6月。日夜の寒暖の差が大きな季節ですね。十分、健康ケアをしてお過ごしください。
ところで、身体の健康には気を使うものの、心の健康にはあまり気を使いませんというお話をよく聞きます。
身体の健康ケアというと、例えば、食事に気を使うとか、食後に歯磨きをするとか、手洗いうがいをするとか、体が冷えないようにするとか、さまざまなことを日常的に取り組まれているかと思います。
それと比べると、心の健康ケアということには、あまり気を使わないのがぼくたち現代人なのかも知れません。
実際のところ、1日の中で何分くらい心の健康ケアに時間を割いますか?なかなか余裕のない日常生活の中で、長時間を健康ケアのために確保するのは難しいですよね。なので、せめて1日5分の心の健康ケア時間を生み出すことをおすすめします。
では、5分で何ができるかということになりますが、5分で十分な心の健康ケアをすることができるのが「マインドフルネス瞑想」です。
マインドフルネス瞑想とは、簡単に言えば、「今、ここ」に意識を集中させ、ありのままの自分を受け入れて強くなるための瞑想ということになります。
やり方は、とってもシンプルです。
・背筋を伸ばし、床やイスに座ります。寝ても構いません。
・自分の自然な呼吸に意識を集中させ、観察します。
・深呼吸をしたり、呼吸をコントロールしたりしません。
・何か思考がはたらいたら、優しく受け止めて距離を置き、呼吸に意識を戻します。
・初めは3分間。徐々に5分10分と伸ばしていきます。
これだけです。ですが、もしあなたが初めてマインドフルネス瞑想をするのであれば、実際にやってみると、さまざまな困難に出会うはずです。
例えば、
・仕事、学校、人のことが思い浮かんでしまう。
・これをして何の意味があるのかと考えてしまう。
・呼吸をコントロールしてしまう。
・時間が気になってしまう。
・いろいろな思考が浮かぶ自分を批判してしまう。
これらは初めのうちによく出会う困難です。このような思考が浮かんできたときは、思考が浮かんだことを否定せずに優しく受け止めます。この思考もあなたの心が生み出したものであって、敵ではありません。ですから、自分の心がこういった思考を生み出したことを認めた上で、もう一度、呼吸に意識を向け直します。実は、この作業がとても大切なのです。
認知療法や認知行動療法では、うつを生み出す不合理な思考のはたらきを自動思考と呼んでいます。それは、言葉の通り、心が自動的に生み出してしまう思考のことです。自動思考は、時には非合理な思考を生み出し、うつのように心を健康ではない状態にしてしまうことがあります。
脳のはたらきによって勝手に生み出される思考をコントロールできるかどうかということは、心の健康を保つことができるかどうかということと密接に関係しているのです。
マインドフルネス瞑想は、この思考のコントロールの訓練とも言えます。心に浮かんだ思考を否定せずに一度受け止め、そこから力まずに距離を置くことを繰り返すのがマインドフルネス瞑想の基本パターンだからです。
マインドフルネス瞑想をし始めてから2週間も経つと、心に力がみなぎってくることを感じます。それは、言うまでもなく、心が勝手にはたらかせている思考を力まずにコントロールできているという自信が得られるからです。マインドフルネス瞑想が心理臨床の現場で取り入れられているのは、このような心理臨床の効果をもつからです。
マインドフルネス瞑想が単なるストレス解消のための瞑想にとどまらないのは、このような理由によるものです。
上のようなうつ改善の効果だけでなく、マインドフルネス瞑想には下のような効果があることが検証されています。
・ストレス軽減
・記憶力や集中力の向上
・免疫機能の向上
・痛みの改善
・不安障害の症状の改善
・感情コントロールの向上
これらの効果は、意識を「今、ここ」に向けるスキルと勝手に浮かんだ思考から力まずに離れるスキルを日々の瞑想の積み重ねで習得することで得られます。
ですから、マインドフルネス瞑想の効果を実感するには、2週間毎日続けることが必要です。初めは、1日に3分で十分です。2週間経った時には、マインドフルネスのない不安だらけの暮らしには戻れないと感じるようになっているのではないかと思います。
このマインドフルネスは、マサーチューセッツ大学医学大学院教授・同大学マインドフルネスセンター長のジョン・カバットジン教授が開発しました。この心理療法の背景には、仏教の瞑想があると言われています。
マインドフルネス瞑想がアメリカで広がっていったのには、こうした開発の過程が関係しています。ニューヨークのセントラルパークで瞑想をしている人々をテレビなどで見たことがあるのではないでしょうか。仏教的な考え方に親和性のある日本人が、その効果を得ないでいるのはもったいないですね。
瞑想には興味があるけど、「なんか怪しい…」とか、「宗教に勧誘されそう…」とか、「スピリチュアル系ってなんか…」などと感じられている方も多いのではないかと思います。
マインドフルネス瞑想は、ぼくたち公認心理師が心理療法の一つとして身に付けている心理臨床のエビデンスをもつものですので、前述のような方には、ぜひ始めてほしいなーと思います。始めてみたいけど、よくわからないという方は、ぜひメールやカウンセリングでご相談ください。
新潟市でもニューヨークのセントラルパークみたいに、みんなでマインドフルネス瞑想を楽しむことができたらステキだなーと思います。みらいびらきLabo.主催で、マインドフルネスを楽しむイベントを週末の早朝にでも開催したら、誰か来てくれるかなー。ぜひやろうよっていう方がいらっしゃいましたらメールくださいませー。