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アニマルセラピーのご紹介

太古の歴史から人間は動物といっしょに生活をしていました。

犬の先祖であるオオカミといっしょにくらし始めたのが2万年前から1万5000年ほど前のことと考えられています。いっしょに狩りをすることで、犬と人間はだんだんとお互いに影響を与えながら進化するようになりました。

また、馬もまた人間との付き合いは長く、馬は、5000年以上の間、人間の移動や重労働を助けてきました。

どちらの動物も人間との長い生活の中で、人間と共に暮らしていくための人間理解の能力を身に付けていったと考えられています。

ところで、これらの動物の役割は、狩りや移動、重労働にとどまりませんでした。彼らは、人間と心を結び合わせることで生活をうるおし、豊かなものにしてきたのです。

最近の動物学の研究では、人間といっしょに進化した犬には、他の動物にはない、人間と感情を通わせ合うための仕組みが脳にあるということが分かってきています。

本来、同種の家族などでしか分泌されることのないオキシトシンというホルモン物質が、人間と犬ということなる種の動物間で分泌される関係ができあがっていることも確かめられました。このオキシトシンには、痛みをしずめる効果・安心する効果・愛着をもたせる効果があります。このことから、なぜ犬がセラピー効果を発揮することができるのかということも解明されつつあります。

▶︎動物を介在させた心理臨床が広がらないのは?

日本では、近年、病院でファシリテーション・ドッグが治療を促進するために医療現場で導入されるようになってきました。上述の犬のセラピー効果を医療現場で活用する試みです。ここでは、ファシリテーション・ドッグは、その名の通り、医師の治療をファシリテート(促進)します。

治療に気持ちの向きにくい患者の治療意欲を向上させたり、患部の痛みを和らげ、治療の効果を促進させたりすることに役立っています。導入する病院の数はどんどん増えていて、ますますその役割への期待が大きくなってきています。

他方、動物による心理支援の実践は、日本ではまだまだ進んでいないのが実態です。動物が癒しを与えることは、多くの人々が経験的に知っているものの、心理臨床家による実践報告はあまりにも少ないのが実態です。

なぜ、日本では、動物による心理臨床が進まなかったのでしょう。その一つの要因には、日本における心理臨床の行なわれ方にあると考えられます。

日本の心理臨床は、子ども(クライアント)中心というよりは、保護者や学校、心理士などの支援者が受けてほしいと願う心理臨床を受けさせるという傾向が強くありました。学校や職場などへの不適応により、周囲の人々が心理支援を受けるように進めたり、受けるべきであるとアセスメントしたりすることによって心理臨床が行われるケースがほとんどであったと言えます。

そのため、日本では、社会適応プログラムとしての心理臨床の方法が発展しました。多くのクライアントを社会適応させるための改善プログラムが海外から輸入され、日本人向けに標準化されていきました。

ですが、このことは同時に心理臨床の専門性が高まれば高まるほど、子ども(クライアント)の期待する心理支援とは異なる形になっていってしまうという矛盾を生み出しました。そのうちに、子ども自身がこんな支援をしてほしいと願うような心理支援から、心理職の提供するサービスが離れていくようになり、カウンセリングや心理療法って「なんか怖い」という望ましくない思いが広がっていってしまったと考えられます。

あらゆる心理支援は、心の状態をより良いものに導くためのものなので、クライアント自身にとって意義や良さを感じられるものでなければなりません。そうであるからこそ自己治癒力が最大限に高まるはずです。ですが、日本の子どもへの心理支援は、残念ながら、大人が子どもに求める社会的な適応を促進するためのものになっているのが実際です。

▶︎クライアント中心療法としてのアニマルセラピー

では、動物を介在させた心理療法をクライアント中心療法として捉えると、どんなことが見えてくるのでしょう。

クライアント中心療法とは、セラピストがクライアントの話に傾聴し、寄り添って真摯に取り組んでいくことによって、セラピストが支援スキルを振りかざす必要はなく、クライアントが自ら成長課題とその克服のための見通しに気づき、自ら改善していくことができるという考え方に基づいて行われる心理支援です。

この考え方にアニマルセラピー(動物が介在する心理療法)を当てはめてみると、どんなふうに心の健康状態の維持改善が進むのかがイメージしやすいと思います。

この時に、セラピストとクライアントとの間に介在するのが動物です。動物は、クライアントである子どもにとっては他者であって、同時に、気持ちを捉えにくい存在です。子どもは、必然的に動物の気持ちを理解しようとします。それは、動物と触れ合うためにはどうしても必要なことです。

もし動物が不機嫌であれば危険な存在になるかもしれないし、また逆に、自分に対して好意をもっているのかを知りたいという気持ちも自然と生まれてきます。ですから、子どもは、自分から動物に対して心を働かせていきます。動物と関わる間中、子どもは、動物の状況を観察することによって、自分の対応を決定するということを繰り返します。このことは、子どもがセルフコントロールをし続ける状況を生み出します。

この状態を例えるならば、道路状況に合わせて車の運転の仕方を変え続ける時の心の活動と似ています。どんな自動車教習所も、必ず実車訓練があります。座学だけでは、車を運転できるようにはなりません。それと同じで、いくら言語的に行われる心理支援によって、心の健康を維持改善していけるスキルに気づくことができたとしても、セルフコントロールの実車訓練を繰り返ししなければ、上手くはなりません。

そのような意味で、アニマルセラピーは子どもが動物と向き合う中で相手と自分自身の関係性を調整しながら自発的なセルフコントロールを連続させるのです。この点で、アニマルセラピーはクライアント中心療法ととても親和性があると言えます。

▶︎始められるアニマルセラピー

みらいびらきLabo.では、現在、アニマルセラピーが効果的であると考えられるお子さんに、連携するホースセラピー事業者を紹介しております。

新潟市北区の家庭的な厩舎で、一日、馬のお世話をする経験をすることにより、人との関わり(社会的関係)とは異なる動物との関わり(いのちの関係性)を感じてもらい、心の健康の維持改善を図ります。

アニマルセラピーを通じた心理支援については、みらいびらきLabo.の公認心理師(動物介在教育療法学会員)が定期的にお子さんをモニタリングをしますので、ご安心ください。アニマルセラピーの詳細につきましては、こちらをご覧ください。

また、みらいびらきLabo.では、現在、セラピードッグ(トイプードル)をトレーニングしています。ゆっくり学ぶ子なので、セラピー活動はもうちょっと先です。楽しみにして、待ってあげてくださいね。

今回は、ちょっと変わった心理支援として、アニマルセラピーを紹介させていただきました。関心をお持ちになりましたら、カウンセリング時にご相談いただくか、メールにてお問い合わせください。

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